ファイルサーバー・ストレージのあれこれ、初級編(第二回)

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前回はストレージの定義と現在よく使用されているハードディスクの種類についてまとめました。
今回はRAIDとは実際はどういう物なのかということを扱っていきます。

■RAIDはバックアップではない

「うちはRAID5だからバックアップは充分だよね」
実際にシステム運用している方の中でもたまに見受けられる意見ですが、果たしてそうでしょうか?

確かに単体のHDDで運用することに比べると格段に障害耐性が高いシステムになっています。
しかしデータ損失の原因は物理損害だけではありません。
人為的ミスによるデータ損失(重要なファイルを消去してしまった)はRAIDでは防げません。

同じデータを複製するという行為でもRAIDとバックアップでは目的と手段が違うということです。

RAID: 故障によるサーバー停止を防ぐことが目的(可用性)
バックアップ: 故障によるデータ損失を防止することが目的(冗長性)

RAIDシステム

■ではRAIDとは何なのか

上記を踏まえた上でRAIDについて解説していきます。

RAIDは「Redundant Arrays of Inexpensive Disks」または「Redundant Arrays of Independent Disks」の略称とされています。
冗長化された安価なディスク群、または冗長化された独立したディスク群という意味で複数ディスクをまとめて冗長化して使用するという意味です。

RAIDにはハードウェア方式とソフトウェア方式があり、おおまかに下記の形になります。
・外付けRAIDユニット
外付けのRAID装置
ユニット内でRAID構築までカバーしており、外付けで接続できる機構を有していればサーバー側からはSASやiSCSI、FCなどのドライブとして認識されるためサーバー自体への負荷が最低限で運用できる

VMwareの共有ストレージでVmotionを行う場合などは必須機材です

・RAIDコントローラーカード
PCI-ExpressやシステムボードオンボードのハードウェアRAIDコントローラーカードを使用してRAIDを組む方式です。
サーバー筐体にホットスワップ機構を持つ様な場合は標準的に搭載されていることが多いです。

また外付けのnon-RAIDユニットに接続してRAID運用する場合もあります。

・オンボードhostRAID
Intel Embedded RAIDなどシステムボード上のチップで構成される簡易的なRAIDコントローラー
大抵はSATAのみRAID 0,1,1+0のみサポートなどの物が多い。
エントリーサーバーのシステムボードにも搭載されている事が多く、ミラーするだけならとにかく安価にRAID構成できる
信頼性については値段なり
これらのどれが優れているという訳でもないのですが、用途とコストによって使い分ける形になっていくと思います。
またミドルレンジ以上のIAサーバーであれば標準でハードウェアRAIDと前面のホットスワップベイが搭載されていることが多いはずです
第三回ではRAIDレベルについて解説します
それでは


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