2012年12月 のアーカイブ

Adaptec RAIDカード ASR-71605 検証報告

2012年12月15日 土曜日
この記事を読むのにかかる時間の目安: 約 1 分 52 秒

Adaptecの最新RAIDカード ASR-71605(2274400-R)の検証カードを代理店様よりお借りできましたので動作結果をご報告いたします。PCI-E 3.0の規格で作られ、1GBキャッシュを搭載。ロープロファイルにも対応しているのでラックサーバにも搭載できます。オプションのバッテリーを搭載することでキャッシュ有効化も可能。

本機は今まで一般的でしたMINI-SASコネクタでは無く、MINI-SAS HD という新規格のコネクタを採用しております。それによりカードのサイズは従来と変わらずコネクタの数を増やすことが出来ます。HDDの接続台数を増やすことでRAIDパフォーマンスを大きく向上できます。もちろん容量も大きく増やせます。大容量高速ストレージを構成する場合には今後の主流になる規格でしょう。

このように4つ付いていますので16台のドライブを認識可能。

 

このカードを今回はPrimergy TX100S3 Xeon E3-1220V2搭載機に搭載して見ました。

本来はPCI-E 3.0へ搭載したかったのですが、何故か認識しません。TX100S3で正式サポートしているカードでは無いのでこの辺はあきらめて一段下のPCI-E2.0のスロットに搭載。

 

今回はRAIDカードのパフォーマンスを使ってどれだけストレージの速度を上げることが出来るか試すことが目的でした。以前、TX100S3でも使用しましたMB994SP-4S を2台利用して8台の2.5インチベイへCrucial製のSSD M4 256GBを搭載しました。8台でRAID0を構築。約1.8TB認識。

 

ここまでは特に問題無く構成出来ました。いよいよOS上での検証です。OSはWindowsServer2008R2を使用。ドライバはAdaptecのサイトよりダウンロード可能です。

まずはベンチマークとしてポピュラーなCDMを使用。

デフォルトの設定ではReadcache、WritecacheともにDisable なので、変更無しで計測。

なかなかの速度が出ました。シーケンシャルは普通ですが、4KQD32のWriteが高速です。174004.8 IOPS ですのでSQLServerなど大規模DBで相当なレスポンスが期待できる値です。HDDではあり得ない値です。

 

続いて、Readcache、WritecacheをともにEnableに変更してみました。本来はバッテリーをつけて行いますが今回は実験ですので強制的に行いました。

シーケンシャルの値がものすごいです。Read 3,000MB/s越えは初めて見ました。Writeの2,000MB/sオーバーも驚異的です。ですが、4KQD32のWriteが大きく落ちてしまいました。30953.6 IOPSですので他のRAIDカードとそれほど変わりがありません。

 

以上の結果から、今回のadaptecのカードは相当なパフォーマンスを秘めているようです。キャッシュを有効化することは必須なのでバッテリーは追加購入された方が良いです。今回のようなSSD 8台でのRAID0を運用レベルで行いますとデータロストの危険がありますので必ずバックアップを取りながら実施してください。用途に合わせてストレージ領域を使い分ければ大幅な時間短縮となります。

Nytro MegaRAID CacheCade 作成方法

2012年12月8日 土曜日
この記事を読むのにかかる時間の目安: 約 4 分 55 秒

Nytro MegaRAID CacheCadeの作成を行ってみましたので、作成方法についてレポートします。

まず、Nytro MegaRAIDのボードをPCI-Expressスロットに搭載し、BIOS、またはuEFIにて搭載したPCI-Expressスロットに対するOption ROMをEnableに変更し、マシンを再起動するとRAIDコントローラのROMが展開されますので、Ctrl + H という表示が出たらCtrlキーとHキーを同時に押下し、Nytro MegaRAIDのWebBIOSを立ち上げます。

左側にメニュー、右側には接続されているドライブが一覧で表示されます。今回の場合、

SAS20BPという黒い文字から上がNytro MegaRAIDのSSD領域、下が前面のスロットに搭載した600GB SAS HDDが表示されています。Unconfigured Goodという表示があれば、正常に認識されていて、どのRAIDシステムにも属さないことを示しています。

それでは、まずは上に表示されている2つのSSD領域をCache-Cade用の領域として定義していきます。

左側のメニューから、Configuration Wizardを選択して、Configurationを行います。

New Configurationを選択してNextを押下します。New Configurationを選択すると、既存のRAIDシステムをClearした上で新規にRAIDシステムを構築します。既存のRAIDシステムを残したまま、別のRAIDシステムを追加する場合には、Add Configurationを選択してください。

既存のRAIDシステムはClearされるという注意を促す文章です。今回は既存のRAIDシステムは無く、真っ新な状態からのRAIDシステム構築ですので、Yesを押下してそのまま進めます。

先にCache-Cade領域を定義しますので、下のCache-Cadeのチェックボックスにチェックを入れてNextを押下します。

SSDのみ左側のウィンドウに表示されます。今回のNytro-MegaRAIDには、100GBの領域が2つあります。100GBのSSDが2台あるように表示されていますので、2つとも選択してAdd To Arrayを押下します。

Drive Groupが作成され、右側のウィンドウに表示されました。右側に選択したドライブが表示されていれば、そのままAccept DGを押下します。

Nextを押下して次に進めていきます。

先ほど作成したDrive Groupが、そのまま左側のドロップダウンに表示されます。Select Arrayを押下します。

Select Arrayを押下すると、右側に選択した領域が表示されます。Nextを押下して次に進めていきます。

Cache-Cade領域をRAID0、RAID1のどちらのRAIDレベルで構築するか、また、Write Backモード、Write Throughモードのどちらで動作させるかを設定します。今回はRAID0のWrite Backモードで構成しています。Cache-Cadeの領域はあくまでもCacheですが、RAID0でWrite Backモード動作とした場合、いずれかのSSD領域がFail状態となると、書き込みデータの損失が発生する可能性がありますので、ご利用のシーンと重要性に合わせてご選定下さい。

前述の通り、RAID0でWrite Backモード動作させた場合にデータ損失の可能性がある旨の注意文が表示されます。今回はテスト環境ですので、Yesを押下して進めていきます。

右側にCacheCade領域が出来上がりました。Nextで次に進めます。

領域が出来上がっていることを確認し、Acceptを押下します。

ConfigurationをSaveしますので、Yesを押下します。

トップ画面に戻ると、SSD領域がCacheCade領域として定義されていることを確認できます。

次に、CacheCadeを適応させる実際のデータドライブ(Virtual Drive)の定義を行っていきます。左側のメニューから再びConfiguration Wizardを立ち上げます。

Add Configurationを選択し、Nextを押下します。先ほどCacheCade領域を定義した時のように、New Configurationを選択すると、定義したCacheCade領域がClearされてしまいますのでご注意ください。

実際に使用するデータドライブ(Virtual Drive)の定義を行いますので、Virtual Drive Configurationを選択し、Nextを押下します。

Manual Configurationにチェックを入れ、Nextを押下します。

今回は600GBのSAS HDDを4本搭載しています。4本でRAID5を組みますので、左側のウィンドウに表示されているドライブ全てを選択し、Add To Arrayを押下します。

右側に選択したディスクが表示されていることを確認し、Accept DGを押下します。

Drive Group0の次に、Drive Group1として定義されました。Nextを押下して次に進めていきます。

全画面で定義したDrive Group1がドロップダウンに表示されていることを確認し、Add to SPANを押下します。

右側のウィンドウに対象の領域が表示されていることを確認し、Nextを押下します。

作成するVirtual Driveの容量、ポリシーを設定していきます。今回は、CacheCade領域のパフォーマンスを直に確認するため、Virtual DriveのWrite PolicyはWrite Throughに設定しています。

このWrite Policyの設定は、先ほどのCacheCade領域とはまた別に、RAIDコントローラの揮発性メモリの動作に関する設定項目です。Write Backに設定することで、CacheCade領域よりも前にある揮発性メモリでデータを蓄えることが出来、より書き込み性能の向上が期待できますが、その反面、RAIDコントローラにバッテリが搭載されていない場合には、意図しない突然電源断によるデータロストの危険性が高まりますので、こちらのポリシーに関しましてもご利用のシーンと重要性、加えてバッテリの有無も鑑みてご設定ください。

Write Throughでは書き込み性能の向上が期待できない旨のメッセージです。Write Backに設定されている場合には、データ損失の危険性に関するメッセージが表示されます。Yesを押下して進めます。

右側のウィンドウにVD1が作成されたことを確認し、Nextを押下します。

選択されているドライブ、定義されたDrive GroupとVDの関係が表示されます。問題無ければAcceptを押下して進めます。

ConfigurationをSaveしますので、Yesを押下します。

最後に、CacheCade領域をどのVirual Driveに対して機能させるかを選択する画面が表示されます。今回はVD1しかありませんので、Virtual Drive:1が表示されていますが、VDが複数存在する環境では、複数表示されます。Enableを押下して、ただいま作成したVirtula Drive:1に対してCacheCadeを機能させます。

作成したVD1の初期化を行うか否かを選択する画面です。初期化を行う場合にはYesを押下して進めます。今回はYesを押下して進めます。

上記の画面の左側に進捗を表すバーが表示されます。ここで行われる初期化は、クイック初期化ですので、数秒で完了します。初期化が終わると上画面のように左側は空白、右側にVDが表示される画面となります。左下のHomeを押下し、トップ画面に戻ります。

これでCacheCade領域、VDの作成、CacheCade領域と動作させるVDの紐付が完了しました

CacheCadeが最大限生きるシーンは、Webサーバなどの同じデータが頻繁にリード要求される環境であると考えています。頻繁にリード要求されるデータのことをHotSpotと呼びますが、このHotSpotデータがどの程度ご利用の環境に存在するかによって、どの程度CacheCade領域が必要かは異なってきます。今回ご紹介したNytro MegaRAIDでは、RAIDコントローラ上にSSDが直接配置されている製品ですので、容量のカスタマイズは出来ませんが、MegaRAIDシリーズではサーバに搭載したSSDをCacheCade領域として定義出来る製品もございます。当店では様々なニーズにお応え出来ますので、是非ご利用下さい。

なお、ご利用の環境でHotSpotデータがどの程度存在するかを確認できるツールがMicrosoftにて公開されておりますので、ご参考までにご紹介いたします。

http://www.microsoft.com/en-us/download/details.aspx?displaylang=en&id=8442

HP WS Z800にSSD 910を搭載して見ました

2012年12月8日 土曜日
この記事を読むのにかかる時間の目安: 約 1 分 19 秒

以前のblog(記事1記事2)でZ800にSSDを搭載することでどの程度ストレージパフォーマンスが向上するか実験しました。パフォーマンスは上がりましたがネックなのがRAID0を組む必要があると言うことです。作業領域として使用している最中にSSDが故障すると全てのデータが消滅してしまい、大きな損害が出てしまう恐れがあります。

そこで今回はPCI-Eに搭載可能なストレージカード「Intel SSD910」を代理店様からお借りできましたのでZ800へ搭載して速度の実験を行いました。

お借りできたのがロープロファイル版でしたのでブラケットを外して、PCI-E2.0 x8のへ取り付け。

起動して確認してみますと、下記のようにドライバ無しで認識しています。

あっさり認識しました。これには少々びっくり。以前、LSI WarpDriveを検証したときはドライバが必要でした。また、400GBという名目でお借りしましたが画面のように200GBが2つ有ります。疑問はありましたがひとまずベンチマークをとってみました。

 

まずは本体に搭載しています、Crucial M4 256GBの値です。

 

次にSSD910の200GBです。

そこそこの値は出ましたが、価格に対しての速度では無いです。ここで200GBが2つの意味が分かりました。200GBを2つでOS上のストライピングを組むことで400GBを作ることを想定していたのでしょう。

そこで、Windows7のストライピングを構成して測定してみました。

しっかりとした値がでました。LSI WarpDriveに比べますと速度面ではかなわないところがあります。OS上でRAID0を組んでいますので信頼性には不安があります。しかし価格面ではWarpDriveが約60万に対して、SSD910は約20万と40万円の差があります。Z800は一般のPCのような内部構造をしておりませんので自由度はありません。PCI-Eへ搭載するストレージカードがストレージ速度を上げる方法の近道になりますので内蔵のストレージがボトルネックでCPUとメモリのパワーが使い切れていないと感じましたら是非導入をご検討頂ければと思います。

 

近々、新製品のFusion-io ioFXをお借りできる予定です。入荷次第検証しましてブログにて報告いたします。