2015年6月 のアーカイブ

ファイルサーバー・ストレージのあれこれ、初級編(第四回)

2015年6月26日 金曜日
この記事を読むのにかかる時間の目安: 約 3 分 5 秒

今回からはRAIDの設定方法です。

弊社で販売している製品ではPRIMERGY TX100 S3やTX1310 M1などエントリークラスのサーバーに標準搭載されているEmbedded MegaRAID SATAの設定方法でご質問いただく事が多いです。

今回はこのRAIDの設定方法について解説いたします。

■Embedded MegaRAID SATAの仕様は?

性能としては最低限RAID 1(1+0)が組めればよいという程度ですが、エントリークラスのサーバーに標準的に搭載されているのでとにかくHDDを2台(4台)用意すれば最低限ミラーリングできることが魅力です。
(RAID 0もできます)

キャッシュメモリなし、バッテリーオプションもありません。
基本は組めるだけと考えてください。
注意点としてはVMware ESXiではRAIDコントローラーとして認識されないので、VMwareでRAIDを組む場合は別途RAIDコントローラーを増設する必要があることです。

またWindows Server 2012(R2)では別途デバイスドライバを適用しないと組んだRAIDが認識されず単体のHDDとして認識されてしまう問題があります。
このままインストールを進めると途中でインストールが頓挫してしまうので必ずドライバを適用してください。

その他詳しくは下記urlのマニュアルをご参照ください。
http://jp.fujitsu.com/platform/server/primergy/manual/peripdf/b7fy-2551-01.pdf
・2TBを越える領域からのbootについて
TX100 S3はUEFI bootでのGPTからの起動に対応していません。
LUNで起動ドライブをboot可能なサイズに分割してインストールしてください。
(RX1330M1、TX1320M1などは対応しているという資料があるので後日検証します)

■TX100 S3について

TX100S3外観今回はTX100 S3を例に進めます。

TX100S3内部1TX100S3内部2

今回はSATAの1TB HDDを2本搭載しています。
この形で設定します。

setup1setup2

SETUPにてSATA Configurationが「RAID Mode」に設定されていることを確認してください。
逆にVMware ESXiなどでRAIDが使えない場合は「AHCI Mode」に設定します。

post1
設定を確認したら設定を保存して再起動、POST中に規定の画面でCtr+MキーでRAIDの設定モードに入ってください。

■RAIDの設定

raidbuild1raidbuild2Configure」→「New Configuration」でRAID構築画面に入ってください。

raidbuild3raidbuild4

接続されている物理ドライブが表示されているのでArrayに参加させるドライブを選択してスペースバーで文字を反転してください。

raidbuild5

その後F10キーで確定画面に遷移し、決定します。

raidbuild6

各種設定を確認します。(今回はRAID 1に全容量)
間違いがなければ「Accept」でエンターキーを押して確定します。

*DWC(Disk Write Chace)をenableに設定するとArrayのアクセス速度が速くなります。
HDD上のキャッシュメモリを利用するので異常終了時のデータロスの可能性は高まりますが、効果は高いので割り切って有効にしてもよいと思います。

*仮想ドライブを複数に分ける場合は、ここの設定でArrayを組む容量を指定してから、一つ前の画面に戻り次の容量分もArrayを組みます。(LUNを分ける)

raidbuild7

設定情報が表示されるので確認してYesで確定

これでArrayが組まれました。

initial1initial2

Initializeを選択

仮想ドライブが表示されるのでスペースバーを押して選択してください。

initial3

確定してInitializeします。
Initializeとは仮想ドライブの領域に全て0データを入力して整合性を整える作業で、物理ドライブのフォーマットに近いです。

以上でRAID設定作業が完了です。
設定を終了して再起動してください。

post2

仮想ドライブが設定されていることを確認してください。
以上でTX100 S3のRAIDミラーリングが完了しました。

TX1310 M1やRX1330M1でもEmededde MegaRAID SATAが搭載されているサーバーでは同じ作業でRAIDを組むことができます。

■リビルド

ミラーされたArrayの片方のドライブ(RAID 10のどれかでも)が故障した時はクリティカル状態での動作となり、対になるドライブが故障すると復旧不可能になってしまいます。
故障したドライブを交換してリビルド作業をおこない、正常動作状態に戻す必要があります。

RX1330 M1などホットスワップ対応の機種であれば、作動している状態のままでHDDを交換するとオートリビルドが開始されます。
リビルド中はパフォーマンスが下がりますが、全てのリビルドが完了すると正常動作状態に戻ります。

TX100 S3の様にホットスワップできない機種であれば、一度サーバーをシャットダウンする必要があります。
HDD交換後に起動した場合はオートリビルドが開始されない場合がありますのでRAID設定画面で手動でリビルド開始してください。

リビルドが開始されたら設定画面を抜けて再起動して大丈夫です。

今回は出荷数も多くご質問いただくことも多いので、Embededd MegaRAID SATAの設定について手順を追って解説しました。

RAIDごとに手順は変わってきますので、今後も随時各種RAIDの設定方法を紹介していきたいと思います。

ファイルサーバー・ストレージのあれこれ、初級編(第三回)

2015年6月23日 火曜日
この記事を読むのにかかる時間の目安: 約 1 分 30 秒

前回はRAIDコントローラーの種類と用途についてまとめました。
今回はよく使われるRAIDレベルについて扱っていきます。
よくRAID 1(ミラーリング)やRAID 5と呼ばれるRAIDの組み方についてです。
■RAID 0(Striping、ストライピング/対故障性のないディスクアレイ)
複数台のHDDにデータを分散して高速化する方式
冗長性も耐障害性もにため、資料によってはRAIDに含まないとされます

ストレージ速度がとにかく必要で、データ損失を厭わない環境で使用されることが多い
(例:CGスタジオなどのレンダリングサーバー、学術計算の一時記憶領域など)

一般的に台数が増えるほどシーケンシャル速度が上がり、故障率も上がります。
■RAID 1(Mirroring、ミラーリング/二重化構成)
2台のHDDに同じデータを書き込むことによって、耐障害性を上げるのが目的。
片方のHDDが壊れた時にも、もう片方のHDDにはデータが完全な形で残っているので復旧までの間も性能の低下は少ない。

またシステムボードに標準で搭載されているHostRAIDなどでも構成することができるので、低コストでも最低限できるRAID構成といった側面もある

ただし2台で容量が半分になるので、容量効率はよくない。
■RAID 0+1(01) または RAID 1+0(10)
ストライピングとミラーリングを組み合わせた物
お互いの欠点を補い合うため非常に相性はよい

内部的にストライピングしたArrayをミラーするものを0+1、ミラーしたArrayをストライピングした物を1+0と呼ぶ
サーバー用途では耐障害性では優れるRAID 1+0が主に使われる。
■RAID 5(ブロック単位でのパリティ分散記録)
RAID 5は水平パリティを使用して複数のHDDに誤り訂正データと合わせて分散記憶する。
最低3ドライブから構成可能で、台数が増えるほど高速化できる。
RAID 0に比べると投資に対して有効容量が大きい。

ランダムリードに対して高速化が期待できるが、書き込みはパリティブロックの訂正を伴うため(構成台数が少ない場合は特に)速度が遅くなる。
性能のよいRAIDコントローラーでは大容量キャッシュメモリを搭載して速度遅延を吸収している。

HDD1台の故障まではパリティ領域からデータの修復が可能、2台故障すると復旧できなくなる。

*RAID 1+0(0+1)と同様にRAID 5+0(0+5)も存在する。
■RAID 6(ブロック単位・複数パリティ分散記録)
RAID 5を拡張し、HDD2台までの故障に対応できる構成。
最低4台から構成可能(コントローラーによっては3台から)

第四回以降では実機でRAIDを組む手順の実例を紹介いたします。

Windows Server 2003 / 2003 R2 延長サポート終了目前!

2015年6月15日 月曜日
この記事を読むのにかかる時間の目安: 約 2 分 57 秒

■期限は7月15日!
Microsoftを中心に各種情報機関からもアナウンスされていますが、Windows Server 2003 / 2003 R2の延長サポート期間が2015年7月15日(日本時間)で終了となります。
それ以降はセキュリティ更新も止まり、外部からの攻撃に対して非常に危険な状態になります。
*サポート終了直後は特に狙われやすいです!
サーバーがウィルス感染してしまった場合、業務が停止して売り上げに直撃する可能性ももちろんあります。
しかし止まるのであればまだマシで、一見問題なく動作している様に見せてサーバー内の情報が漏洩したり、各所にウィルスをばらまく踏み台にされてしまうパターンもあり、サポート終了したOSを使い続けることは企業としての信用問題として重大なリスクを抱え続けることになります。

加えてもう一点
Windows Server 2003で動作しているサーバーは当然稼働期間も長いので、サーバー自体が既に老朽化している場合がほとんどではないでしょうか?
物理的な故障リスクも同時に抱えているということになります。

■サーバーリプレースの勧め
残された期間は短いですが、これを機にサーバー入れ替えを行うことをお勧めいたします。
入れ替えによって上記のリスクを回避するという意味もありますが、それ以上にメリットが大きいです。
いくつか具体例を挙げていきます。

■複数サーバーを一つにまとめることができる
Windows Server 2003リリース当時と比べると仮想化技術が発達し、マルチコアプロセッサや大容量メモリ搭載も当たり前になりました。
負荷のかかるDBサーバーならばともかく、ADサーバーやメールサーバー、Webサーバーなどの低負荷なサーバーならば一つにまとめても大きな影響が出ない可能性があります。

サーバー統合に伴ってサーバーの物理的専有面積の圧縮、使用電力の軽減などの効果もあります。
小規模サーバーが何台もある様な環境からの統合であれば統合後の運用コスト減で経費の節減に繋がる場合もあります。

■ファイルサーバーのリプレース
SOHOなどではこの形が一番多いのではないかと思います。
クライアントPCの大容量化に伴いファイルサーバーを継ぎ足し継ぎ足ししてきて複数台にまたがっていたり、部署単位で勝手にファイルサーバーやNASを買い足して誰が管理しているか分からない機材がいつの間にかネットワークに参加しているパターンなど色々とあると思います。

特にシステム管理者の把握していないファイルサーバーというのは重要なセキュリティリスクになる場合もあるので、移行を機にWindows Server 2012 R2の大容量ファイルサーバーに統合してしまうというのもよいと思います。

Windows Storage Server 2012 R2であればCAL不要でライセンス価格も通常のWindows Server 2012 R2よりも安価です。

またファイルサーバーを2012 / 2012 R2にした場合は転送プロトコルがSMB3.0になるので、特に大容量ファイルの転送がかなり早くなります。
(クライアントPCがWindows 8 / 8.1の場合、7であればSMB2.1)

■社内ネットワークをスリムに!
まず社内のファイルサーバーやNASを全てWindows Storage Server 2012 R2に統合、残ったサーバーをWindows Server 2012 R2 Standardに統合(必要であればHyper-Vによる仮想サーバーも導入)して社内サーバー環境を一気にスリム化することもできます。

SOHOであれば「20Uラックに何台も設置していたサーバーと社内のそこかしこに点在していたテラなんとかNAS」を「タワーサーバー2台+UPS」くらいまで圧縮できる可能性もあります。

古いサーバーを使用し続けるリスクももちろん高いですが、正体不明のサーバーが社内ネットワークに存在するということもリスクが高いです。
リプレースに伴ってシステム管理者の管理の外にある機材を一掃するチャンスとも言えます。

ネットワークのスリム化で遅い島HUBやいつの間にか増設されていた無線LANルーターも把握して取り除くことができるかもしれません。

■期間はあと一ヶ月!
延長サポート終了までついに残り一ヶ月です。(2015年6月中旬現在)

マイナンバー制度導入に合わせてのリプレースを考えている企業も多いと思いますが、現在の内にリプレースできる部分はリプレースしてマイナンバー制度導入に合わせてリプレースが完了するロードマップを作っていくということも可能だと思います。

サーバー店や弊社営業部でもリプレースのご相談にを鋭意受け付けておりますので、ちょっとした疑問点なども含めてどんどんお問い合わせください。

お問い合わせメールアドレス sales@pcserver1.jp
☆お勧めファイルサーバー
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http://www.pcserver1.jp/server/detail/1232

弊社導入事例(microsoft webサイト)
http://www.microsoft.com/ja-jp/casestudies/ksg01.aspx

最新Quadroを当店在庫のHPワークステーションに搭載してみました

2015年6月11日 木曜日
この記事を読むのにかかる時間の目安: 約 0 分 37 秒

当社で在庫している中古ワークステーションのHP Zシリーズに最新のQuadroを搭載することでどのくらい性能が上がるかを検証してみました。

使用しましたQuadroはK1200とK4200です。K1200はロープロファイル専用ながらK2200に近いパフォーマンスとのことです。

IMG_3026

IMG_3035

 

Win7 64bit上にViewperf12で測定いたしました。結果としては下記の表になりました。

VP12

この値を見る限りではQuadro4000は既に過去のカードとなってしまいました。現行のカードなので当たり前かもしれませんがK4200の値が飛び抜けております。K5000より高速です。ワークステーションのCPU性能は考慮されていないようです。スペック的には一番劣るZ210SFFにK1200を組み込んだ場合の結果と、Z820でQuadro4000を組み込んだ場合の結果ではZ210SFFの方が上でした。この結果からワークステーションはCPUだけを高速化するのではなく、メモリ、内蔵ディスク、グラフィックカードをコストを踏まえてバランス良く構成することが必要となります。

8月よりMicrosoft User CAL製品が値上げになります

2015年6月4日 木曜日
この記事を読むのにかかる時間の目安: 約 0 分 20 秒

2015年8月1日より、Windows ServerやExchange Server CALなど一部製品の
ユーザーCALの値上げが実施されます。

値上げ金額は約13%程度となります。

尚、Windows Server用User CALは6月末までキャンペーンとなっており、通常よりも大幅に安価になっています。

Windows Server User CALを買うなら6月末までがチャンスです!

ライセンス違反にならない様今一度お手持ちのライセンス数の確認をされてみてはいかがでしょうか?

 

 

ファイルサーバー・ストレージのあれこれ、初級編(第二回)

2015年6月2日 火曜日
この記事を読むのにかかる時間の目安: 約 1 分 40 秒

前回はストレージの定義と現在よく使用されているハードディスクの種類についてまとめました。
今回はRAIDとは実際はどういう物なのかということを扱っていきます。

■RAIDはバックアップではない

「うちはRAID5だからバックアップは充分だよね」
実際にシステム運用している方の中でもたまに見受けられる意見ですが、果たしてそうでしょうか?

確かに単体のHDDで運用することに比べると格段に障害耐性が高いシステムになっています。
しかしデータ損失の原因は物理損害だけではありません。
人為的ミスによるデータ損失(重要なファイルを消去してしまった)はRAIDでは防げません。

同じデータを複製するという行為でもRAIDとバックアップでは目的と手段が違うということです。

RAID: 故障によるサーバー停止を防ぐことが目的(可用性)
バックアップ: 故障によるデータ損失を防止することが目的(冗長性)

RAIDシステム

■ではRAIDとは何なのか

上記を踏まえた上でRAIDについて解説していきます。

RAIDは「Redundant Arrays of Inexpensive Disks」または「Redundant Arrays of Independent Disks」の略称とされています。
冗長化された安価なディスク群、または冗長化された独立したディスク群という意味で複数ディスクをまとめて冗長化して使用するという意味です。

RAIDにはハードウェア方式とソフトウェア方式があり、おおまかに下記の形になります。
・外付けRAIDユニット
外付けのRAID装置
ユニット内でRAID構築までカバーしており、外付けで接続できる機構を有していればサーバー側からはSASやiSCSI、FCなどのドライブとして認識されるためサーバー自体への負荷が最低限で運用できる

VMwareの共有ストレージでVmotionを行う場合などは必須機材です

・RAIDコントローラーカード
PCI-ExpressやシステムボードオンボードのハードウェアRAIDコントローラーカードを使用してRAIDを組む方式です。
サーバー筐体にホットスワップ機構を持つ様な場合は標準的に搭載されていることが多いです。

また外付けのnon-RAIDユニットに接続してRAID運用する場合もあります。

・オンボードhostRAID
Intel Embedded RAIDなどシステムボード上のチップで構成される簡易的なRAIDコントローラー
大抵はSATAのみRAID 0,1,1+0のみサポートなどの物が多い。
エントリーサーバーのシステムボードにも搭載されている事が多く、ミラーするだけならとにかく安価にRAID構成できる
信頼性については値段なり
これらのどれが優れているという訳でもないのですが、用途とコストによって使い分ける形になっていくと思います。
またミドルレンジ以上のIAサーバーであれば標準でハードウェアRAIDと前面のホットスワップベイが搭載されていることが多いはずです
第三回ではRAIDレベルについて解説します
それでは