ファイルサーバー・ストレージのあれこれ、初級編(第六回)

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■ストレージ選定の指標について

サーバーシステムにストレージ・アレイを組み込む場合に検討するべき事項について解説していきます
システムによってどの要素を重視すべきか、コストが合わない場合にどこを削るべきかの参考になれば幸いです。

ストレージ・アレイの選定に必要な要素は大まかには5つとなります。
・信頼性(Reliability)
・保守性(Serviceability)
・可用性(Availability)
・性能(Performance)
・拡張性(Scalability)

提供するサービス、提供対象によって重視する部分を見極めることが重要です。
今回はそれぞれについて解説してきます。

■信頼性(Reliability)

簡単に言ってしまえば「故障のしにくさ」です
故障頻度が低く長期間運用を続けられることが信頼性の高いと言うことになります。
ストレージ・アレイの場合はRAID対応や冗長パーツなどで一部故障時にも運用を続けられる様になっているのも信頼性の向上に関わります

信頼性の指標はMTBF(Mean Time Between Failure)
この値は「システム稼働時間÷故障回数」で求めることができ、システムの連続稼働時間の平均値となります

■保守性(Serviceability)

保守性は故障時の復旧能力の高さによって決まります。
故障時の修復時間を短縮するための機構や、メーカーサポートの保守体制なども含める。
HDDを始めとした各パーツのホットスワップ機能、故障検知機能と通知機能、メーカーのサポート体制などの要素が考慮されます

保守性の指標はMTTR(Mean Time To Repair)
「修理(復旧)時間÷故障回数」で求め、システムの故障から復旧までの時間の平均で表します。

■可用性(Availability)

可用性とは信頼性と保守性の要素が含まれています。
システム故障などで停止しない能力や、ユーザーへの有用性の事です。
ストレージ・アレイにとって運用においてもっとも重要な要素とも言えます。

可用性の指標は稼働率
「MTBF÷(MTBF+MTTR)」で求め、ある特定の稼働時間において、必要とされる機能やサービスの維持ができる割合を表します。

■性能(Performance)

ストレージ・アレイの処理数や処理速度に対する指標です。
「スループット」「レスポンスタイム」などの観点から「IOPS」「MBPS」などの指標で表現されます。
IOPS(Input/Output Operations per Second)は時間あたりのデータ処理数を示す指標
データを処理する際にサーバーはデータをブロックサイズという小さなデータに分割して処理します。
この「ブロックサイズ」を1秒で何回処理できるかを現した値です。

当然サーバー側にもIOPSがあるので、サーバー(またはサーバー群)がストレージ・アレイに対してどれだけのIOPSでデータ処理をしているのかを計測して、その性能に見合ったストレージ・アレイを用意することが大事です。

またストレージ・アレイのカタログなどにIOPSが表記されていることもあるが、内部のHDDやRAID構成によっていくらでも変動するのであくまで参考としてチェックしてください。
あくまで運用する構成でのIOPSが重要です。
MBPS(Mega bytes per Sec)はサーバ・ストレージ間の秒間辺りのデータ転送量となります。
単純にシーケンスのデータ転送量だけ求められる映像配信サーバーなどで重要視される指標です。

■拡張性(Scalability)

将来的にシステムの負荷が上がったりユーザーが増えた際に対応できる拡張性があるかどうかの指標

将来的に負荷が増える予定であれば、コントローラーユニットやインターフェースボードの増設が可能かどうかといった点をチェックして機器選定をするべきです。

■まとめ

今回はストレージ・アレイ選定において重要視するポイントについて解説しました。
もちろんこういった条件に加えてコスト面、設置環境などの条件も含めて選定にあたってください。
次回は今回話題に上げた可用性について、もう少し突っ込んで解説します。
それでは。


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