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Infortrend社のNASとして好評販売中の「EonNAS」シリーズで、タワー型の最上位モデル「850」シリーズが入荷しました。
ベースとなる「850」の仕様としては、
搭載CPU:Core i3 2120 3.3GHz デュアルコア
搭載メモリ:4GB
搭載HDDベイ:3.5インチ SATA 8台まで
内蔵NIC:1000T x2ポート
となっております。さらにNICを増設したモデルで
「850-1」は1000T x4ポートを追加して合計6ポートの1000Tを搭載。
「850-2」は10GbE(STP+)2ポートを追加して合計1000Tx2、10GbEx2を搭載。
今回は10GbEを搭載した「850-2」を検証しました。
向かって右が「510」左が「850」となります。搭載ベイの分大きくなっています。
フロントパネルを開けるとこのような感じになっています。
背面です。上部に10GbEのモジュールが搭載されています。
操作方法等はEonNASシリーズは統一されておりますので割愛いたします。それでは運用中の速度を計測してみます。
搭載HDD:SATA 2TB 7,200rpm 8本
構築RAID:RAID5
使用したスイッチ:Netgear XS708E(10GbE-Tx8ポート。内1ポートはSFP+とコンボ)
使用した10Gケーブル:ダイレクトアタッチケーブル1m
サーバ側のOS:WindowsServer2008R2
としました。
①1000T環境での速度調査(CDM)サーバ⇒850-2
②1000T環境での速度調査(5GBデータを送る)サーバ⇒850-2
1000T環境でのNASとしては十分なパフォーマンスを発揮しております。下位モデルの510と比べまして30%程度速度が出ております。i3 2120とメモリ4GBがパフォーマンスの要因かと思われます。ですが、1000Tでの環境ではこの値が上限かと思われます。ネットワーク帯域が足りません。そこで、よりハイスピードを求めるユーザー様に当モデルは10GbEを搭載しております。続いては10GbEでの速度測定を行います。
③XS708Eと850-2をDAC接続。
④各ポートのIPアドレスを入力。
LAN3が10GbEとなります。
⑤10GbE環境での速度調査(CDM)サーバ⇒850-2
⑥10GbE環境での速度調査(5GBデータを送る)サーバ⇒850-2
10GbE環境では思ったほど速度が出ませんでした。どうやらWindowsのネットワークでの共有(CIFS)がボトルネックのようです。そこで、iSCSI領域を作成してみました。
⑦10GbE環境での速度調査(CDM)サーバ⇒850-2(iSCSIボリューム)
速度が一気に改善しました。10GbE相当の速度です。やはりボトルネックはCIFSでした。850-2はしっかりとしたパフォーマンスを発揮できるNASでした。
⑧10GbE環境での速度調査(5GBデータを送る)サーバ⇒850-2(iSCSIボリューム)
思ったほどの値が出ませんでした。サーバにあるデータをコピーしたのでサーバ搭載のHDDがボトルネックの可能性が高いです。そこで、8GbFCを搭載しているESDSを使いました。
⑨10GbE環境での速度調査(5GBデータを送る)ESDS⇒850-2(iSCSIボリューム)
5GBのデータがあっという間に転送できました。
以上の結果を踏まえますと、
①CIFSでは10GbE環境を導入しても大きな変化は得られない。
②高速転送が必要ならiSCSIのボリュームを使用。
③相手になるストレージも10GbEやFCを搭載している高速ストレージ。
④スイッチングハブ、ケーブルでも速度面が変わってくる。
このあたりをクリアして初めて10GbEを導入するメリットが出てきます。導入に一番メリットが出る環境としては、巨大な映像や写真データを大量に取り扱う業種で、SSD内で編集を行い、終了したデータはストレージに移動する。その際に高速でやりとりしたいといった環境でしょうか。Z800に10GbEを取り付けて、850-2と10GbEを直結し、iSCSI領域を外部ストレージとして使うと言った感じです。
一般的なWindowsやMacでの共有ストレージでしたら1000T環境で問題ございません。今回検証しました850はしっかりとしたパフォーマンスを発揮しております。4TBを8台搭載できるサーバですとどうしても大型化になります。850はコンパクトでかつ静音です。オフィスの何処においても気になりません。20TBオーバーのストレージをコンパクトに設置できてパフォーマンスも必要と言ったお客様に最適なNASに仕上がっています。