知っておきたいサーバ節電の豆知識:メモリの構成で消費電力はどう変わるのか?

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旧型サーバを最新エコサーバにリプレースして、節電目標を楽々クリア!の記事でも少し触れましたが、メモリをうまく構成することで、サーバの消費電力を下げることが可能です。
では、実際どのように構成すれば、効率よく節電ができるのでしょうか?
最適な節電方法をさぐるために、メモリの容量・枚数・負荷のかけ方を変えて、実験してみました。

測定内容

測定内容は、以下の通りです。

測定したハードウェア

FUJITSU PRIMERGY TX100 S2
CPU : Intel Xeon X3430 (Quad Core) 1CPU
RAM : PC3-10600 unBuffered ECC
 1GB : 富士通純正品 PG-RM1DG
 2GB : 富士通純正品 PG-RM2DG
 4GB : SanMax製 SMD-8G68EHP-13H-D
HDD : SATA 7200rpm HDD
OS : Windows Server 2008 R2

メモリに PC3-10600 unBuffered ECC を使用した、エントリータイプのサーバです。

測定した内容

以下の4項目を測定しました。
(1) 待機電力
(2) アイドル時
(3) CPU/メモリ 負荷時
(4) CPU/メモリ/HDD 負荷時

テスト内容について

・CPU負荷テストには「PRIME95」を使用
・メモリ負荷テストには「メモリーストレス検査ツール Ver1.00」等を使用(複数のソフトを併用)
・HDD負荷テストには「CrystalDiskMark 3_0_0d」を使用
・電力測定には、ワットチェッカーを使用
・いちばん消費電力が高くなった瞬間の数値を記録しています。
・テストはすべて手動で行っているので、ある程度の誤差が発生する可能性があります。

結果

以下のような結果になりました。

メモリ構成 (1) 待機電力 (2) アイドル時 (3) CPU/メモリ 負荷時 (4) CPU/メモリ/HDD 負荷時
1GB x 1枚 0W 30W 84W 93W
1GB x 2枚 0W 30W 100W 109W
1GB x 4枚 0W 30W 107W 110W
2GB x 1枚 0W 30W 90W 103W
2GB x 2枚 0W 30W 108W 115W
2GB x 4枚 0W 30W 120W 125W
4GB x 1枚 0W 30W 92W 104W
4GB x 2枚 0W 30W 110W 115W
4GB x 4枚 0W 30W 118W 123W

すこし意外な結果です。まず、アイドル時は、まったく変化がありません。メモリの合計容量が1GBだろうが16GBだろうが、アイドル時の消費電力は同じでした。

次に、「(3) CPU/メモリ 負荷時」を抜き出して、結果をグラフにしてみました。見やすくするため、グラフの下限を80ワットに設定しています。

メモリ2枚と4枚で、あまり差がありません。一部逆転している部分もありますが、測定誤差でしょう。
ここから、以下のことがわかります。

・1GB 2枚より、4GB 1枚のほうが、消費電力が低い。
・メモリモジュールごとの差は、それほど大きくない(1GBと4GBを比較しても、1割程度)。
・メモリ1枚と2枚の差は大きいが、メモリ2枚と4枚の差は、それほど大きくない。

2枚差しを4枚差しにしても、消費電力は大きく増えない

アイドル時の消費電力は、容量や枚数によらず同じことを考えると、「メモリの枚数が増えたぶん負荷が分散し、結果的に1枚あたりの消費電力が下がった」という事も考えられます。
テストでは64bit OSを使用し、メモリ負荷が高くなるよう色々なツールを試してみたのですが、それでもこの数値でした。メモリ4枚差しの場合、すべてのメモリの負荷を上げるのは、なかなか大変です。

というわけで、PC3-10600 unBuffered ECC の場合、メモリ2枚差しと4枚差しでは、1枚→2枚ほどの差がないようです。おそらく、一般的なパソコンで使われている nonECC メモリでも同様でしょう。

unBuffered ECC メモリは、アイドル時の消費電力が低い

また、アイドル時消費電力はほとんど変わらず、負荷が高くなった状態ではじめて消費電力が増えました。「PC3-10600 ECC メモリは、使ったぶんだけ電気を食う。使わなければ電気を食わない」ということでしょうか。
PC2-5300 FB-DIMM では、これとは逆に「差しただけで、アイドル状態でも電気を食う」結果でした。これは、FB-DIMMメモリモジュール上のAMB(Advanced Memory Buffer)チップが電気を消費していたことが原因です。

PC3-10600 Registered メモリで実験すると、レジスタードバッファの関係で、また違った結果が出てくることが予想できます。

サーバの購入に失敗しないために

・大容量のメモリモジュールを使っても、消費電力はあまり増えません。大容量メモリを搭載する場合に、消費電力を気にする必要はほとんどありません

・節電を第一に考えるなら、大容量メモリを、少ない枚数積むのがコツです。

・1GBを4枚よりは、2GBを2枚。または4GBを1枚にすることで、消費電力を下げることができます。
・1GBを4枚から4GBを2枚に変更することで、消費電力を同レベルに抑えつつ、性能を大きく向上させることができます。

・メーカー製のサーバは、出荷時に1GB等の容量の低いメモリを搭載して出荷されている事が多々あります。これを大容量モジュールにリプレースすることで、消費電力を下げることができます

これらが、サーバのメモリ選びで失敗しないコツです。

今回はPC3-10600 unBufferedメモリにて実験しましたが、次回はRegisteredメモリにて実験を行う予定です。


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