高価なストレージを導入する価値はあるのか?ストレージベンチマーク(前編)
ストレージ関連機器は、数万円で購入できる安価なものから、数十万円を超える大規模なものなど、豊富な種類があります。
はたして、高価なストレージを導入する意味はあるのでしょうか?パフォーマンスの観点から、そのメリットを検証してみます。
今回はまず、ローカルのファイルアクセスにてベンチマークを実行してみました。
測定を行った機種は、以下の通りです。
種別 | 機種名 |
---|---|
サーバ | FUJITSU PRIMERGY RX300 S4 SAS / SATA, RAID キャッシュ ON / OFF |
HP ProLiant ML110 G6 | |
外部ストレージ (ストレージロボット) |
DataRobotics Drobo 2nd |
DataRobotics Drobo S (2.0) | |
DataRobotics Drobo S (3.0) | |
HP StorageWorks MSA2312sa(外部SAS接続) SAS / SATA |
※ SATA のベンチマークには、 HGST HDS722020ALA330 ( 2TB / 7,200rpm ) を使用
※ SAS のベンチマークには、 各メーカー純正 146GB 15,000rpm HDD を使用
※ ベンチマークテスト(シーケンシャル、ランダム)には、Crystal Disk mark を使用。
テストに使ったディスク領域は 1GB。
結果は以下の通りです。
CPU : Xeon X3430 ( 2.4GHz / 4C )
RAID : SATA RAID1 (オンボード Host-RAID)
OS : Windows 7
形状 : タワー型サーバ
ベンチマーク結果 | |
---|---|
Sequential Read | 54.6 MB/sec |
Sequential Write | 52.1 MB/sec |
Random (512k) Read | 22.2 MB/sec |
Random (512k) Write | 30.1 MB/sec |
Random (4k) Read | 0.3 MB/sec |
Random (4k) Write | 1.1 MB/sec |
最近の 2TB HDD は、単体でベンチマークを取ると Sequential Read 100MB/sec を超える数値をたたき出す事があります。しかし、RAIDを構築した場合は話が別です。RAIDコントローラの性能等に影響され、どうしても数値は落ちてしまいます。
ベンチマーク結果 | |
---|---|
Sequential Read | 28.4 MB/sec |
Sequential Write | 27.1 MB/sec |
Random (512k) Read | 14.7 MB/sec |
Random (512k) Write | 27.1 MB/sec |
Random (4k) Read | 0.4 MB/sec |
Random (4k) Write | 1.6 MB/sec |
「簡単・お手軽・メンテナンスが楽」で評判のストレージロボットですが、USB 2.0接続だけあって、パフォーマンスは普通です。あくまで個人向けのバックアップ用でしょうか。
※販売終了商品
RAID : SATA Beyond RAID
ベンチマーク結果 | |
---|---|
Sequential Read | 72.9 MB/sec |
Sequential Write | 52.9 MB/sec |
Random (512k) Read | 15.2 MB/sec |
Random (512k) Write | 15.7 MB/sec |
Random (4k) Read | 0.4 MB/sec |
Random (4k) Write | 1.1 MB/sec |
Drobo シリーズの eSATA 対応版です。 2nd と比べると、大きくパフォーマンスが伸びています。ですが eSATA の帯域を使い切るほどではありません。これは RAID の処理が入るので、仕方のないところです。
ベンチマーク結果 | |
---|---|
Sequential Read | 77.8 MB/sec |
Sequential Write | 59.1 MB/sec |
Random (512k) Read | 7.5 MB/sec |
Random (512k) Write | 38.8 MB/sec |
Random (4k) Read | 0.6 MB/sec |
Random (4k) Write | 0.8 MB/sec |
eSATA 接続と、ほぼ同じような傾向になりました。 eSATA が充分高速なためか、 USB 3.0 でも速度の向上はありません。
Drobo を USB 3.0 で接続した際のメリットは、速度よりも手軽さにありそうです。
RAID : LSI MegaRAID SASアレイコントローラカード (RAID 5 構築済み, 256MBキャッシュ)
OS : Windows Storage Server 2008 (導入済み)
形状 : 2Uラックマウント(HDD 6台まで)
ベンチマーク結果(シーケンシャル・ランダム) | ||||
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種別 | SATA キャッシュOFF |
SATA キャッシュON |
SAS キャッシュOFF |
SAS キャッシュON |
Sequential Read | 224.9 MB/sec | 226.4 MB/sec | 236.5 MB/sec | 240.2 MB/sec |
Sequential Write | 28.9 MB/sec | 222.4 MB/sec | 33.8 MB/sec | 148.1 MB/sec |
Random (512k) Read | 50.8 MB/sec | 52.1 MB/sec | 77.9 MB/sec | 77.2 MB/sec |
Random (512k) Write | 22.9 MB/sec | 60.2 MB/sec | 29.0 MB/sec | 97.0 MB/sec |
Random (4k) Read | 0.7 MB/sec | 0.7 MB/sec | 1.2 MB/sec | 1.2 MB/sec |
Random (4k) Write | 0.5MB/sec | 1.7 MB/sec | 0.5 MB/sec | 3.7 MB/sec |
※ハードディスク SATA / SAS、 RAID カードのキャッシュ ON / OFF を、それぞれ切り替えて測定。
2Uラックマウントでハードディスクを6台搭載可能な、人気のストレージサーバです。
やはりストレージサーバだけあって、高速です。Sequential Read はすべて 200MB/sec 超え。 RAID 5 では書き込み時にパリティの計算が必要になりますが、キャッシュを有効にすれば Sequential Write もこれだけ速くなります。
Random (512k) が速いので、ランダムアクセスの多いデータベースサーバに、特にお勧めできます。
大人数で利用するファイルサーバだと、通常は利用人数に応じた追加ライセンス( CAL )が必要になるのですが、 Windows Storage Server なら追加ライセンス無しでご利用いただけます。
ハードディスクを7台以上搭載したい場合は、IBM DS3000/hp Storage Works等のストレージをご利用いただくと便利です。
サーバ : FUJITSU PRIMERGY RX300 S4 ( SAS 接続 )
RAID : 本体内蔵 RAID コントローラ RAID 5 ( 1GB RAID キャッシュ内蔵 )
形状 : 2Uラックマウント(HDD 12台まで)
ベンチマーク結果(シーケンシャル・ランダム) | ||||
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種別 | SATA ※純正 1TB HDD を使用 |
SAS | ||
Sequential Read | 234.0 MB/sec | 255.2 MB/sec | ||
Sequential Write | 161.3 MB/sec | 197.1 MB/sec | ||
Random (512k) Read | 62.1 MB/sec | 60.4 MB/sec | ||
Random (512k) Write | 55.7 MB/sec | 80.5 MB/sec | ||
Random (4k) Read | 1.1 MB/sec | 1.9 MB/sec | ||
Random (4k) Write | 5.6MB/sec | 3.7 MB/sec |
今回のベンチマークテストにおいて、最も性能が良かった製品です。
・HDD 12 台搭載可能( 追加エンクロージャを使用して、最大 60 台までサポート)
・大容量キャッシュつき 高性能型 デュアル RAID コントローラ搭載
・VMware をサポート
という特徴を持つ、本格派ストレージです。大容量でなおかつ高速なので、ストレージに関する課題を一気にクリアできます。ただ、価格も高めです。
大容量キャッシュが効いているのか、高いパフォーマンスを発揮しています。 SAS と SATA で大きな違いがないのも、キャッシュが関係しているのかもしれません。
安価で大容量を実現するため SATA HDD を選択する場合は、大容量キャッシュつきの RAID カードを搭載することで、パフォーマンスの低下を防ぐことができそうです。
最後に、結果を表にまとめてみます。
ベンチマーク結果(シーケンシャル・ランダム) まとめ (※ 単位 : MB/sec ) |
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機種 | 種別 | Sequential | Random (512k) | Random (4k) | |||
Read | Write | Read | Write | Read | Write | ||
HP StorageWorks MSA2312sa | SAS | 255.2 | 197.1 | 60.4 | 80.5 | 1.9 | 3.7 |
HP StorageWorks MSA2312sa | SATA | 234.0 | 161.3 | 62.1 | 55.7 | 1.1 | 5.6 |
FUJITSU PRIMERGY RX300 S4 | SAS (※キャッシュ有効) |
240.2 | 148.1 | 77.2 | 97.0 | 1.2 | 4.3 |
FUJITSU PRIMERGY RX300 S4 | SATA (※キャッシュ有効) |
226.4 | 224.4 | 52.1 | 60.2 | 0.7 | 1.7 |
FUJITSU PRIMERGY RX300 S4 | SAS (※キャッシュ無効) |
236.5 | 33.8 | 77.9 | 29.0 | 1.2 | 0.5 |
FUJITSU PRIMERGY RX300 S4 | SATA (※キャッシュ無効) |
224.9 | 28.9 | 50.8 | 22.9 | 0.7 | 0.5 |
HP ProLiant ML110 G6 | SATA | 54.6 | 52.1 | 22.2 | 30.1 | 0.3 | 1.1 |
DataRobotics Drobo S (3.0) | SATA ( USB 3.0 ) | 77.8 | 59.1 | 7.5 | 38.8 | 0.6 | 0.8 |
DataRobotics Drobo S (2.0) | SATA ( eSATA ) | 72.9 | 52.9 | 15.2 | 15.7 | 0.4 | 1.1 |
DataRobotics Drobo 2nd | SATA ( USB 2.0 ) | 28.4 | 27.1 | 14.7 | 27.1 | 0.4 | 1.6 |
■ エントリーサーバ ( ML110 G6 ) と、ストレージサーバ ( RX300 S4 ) を比べると、大きな違いがあります。 特にシーケンシャルは4倍以上、ランダムも3倍以上の違いです。 RAID カードの性能の差が出ています。
■ SAS と SATA では、劇的な違いはありません。ただ、ストレージサーバにおいてはランダムアクセス性能の向上が見られます。
■ それよりもRAID カードと、キャッシュの差のほうが大きいです。高性能な RAID カードを搭載することが重要です。
■ Drobo は、 USB 2.0 の Drobo 2nd と、 USB 3.0 / eSATA の Drobo S ( 2.0 / 3.0 ) は、大きな違いがありました。単純な転送速度の違いだけでなく、エントリー機種と上位機種の違いでしょうか。
ストレージの容量は、搭載可能な HDD の台数に左右されます。
搭載可能な HDD の台数を、表にまとめてみました。
機種名 | 搭載可能台数 |
---|---|
FUJITSU PRIMERGY RX300 S4 | 6台 (ホットスワップ) |
HP ProLiant ML110 G6 | 4台 (ノンホットスワップ) |
DataRobotics Drobo 2nd | 4台 (ホットスワップ) |
DataRobotics Drobo S (2.0) | 5台 (ホットスワップ) |
DataRobotics Drobo S (3.0) | 5台 (ホットスワップ) |
HP StorageWorks MSA2312sa | 12台 (ホットスワップ) |
たとえば 2TB HDD を使用した場合、HDD 4台搭載可能な ML110 G6 では 合計 8TB、 RAID 1 を構築した場合で 4TB 利用可能です。
HDD 12台搭載可能な StorageWorks MSA2312sa では合計 24TB。RAID 1 を構築した状態で 12TB利用可能。 3倍の差があります。
本格派ストレージならば、大量のハードディスクを搭載し、大容量のストレージを構築することができます。しかも、前述の通りパフォーマンスも非常に高いです。
ベンチマークを見てみると、「安価な機種はパフォーマンスが低く、搭載可能台数も少ない」という当たり前の結論を再確認させられる結果となりました。
しかし、ただ高価なストレージを導入すれば良いわけではありません。コストパフォーマンスの高いストレージを構築するには、用途によって本体・ RAID カード・ディスクを使い分けることが重要です。
たとえば Oracle Database では、通常のデータベースファイルはランダムアクセスが多いので SAS ディスクに置き、 REDO ログはシーケンシャルアクセスが多いので SATA ディスクに置けば、ディスクを有効活用できます。
SATA ディスクは安価で大容量ですが、ランダムアクセスの遅さが難点です。
ですが、大容量キャッシュつきの高性能 RAID カードを使うことで、ランダムアクセスの遅さを補うことができます。このように、ストレージ関連機器をうまく組合せれば、弱点を補うことができます。
当店であれば、ストレージの選定からアドバイスをさせていただきますので、ぜひご相談ください。
今回はローカルでの速度を測定しましたが、次回からは NAS や iSCSI ストレージも含め、ネットワーク経由でのアクセス速度を測定します。