ファイルサーバー・ストレージのあれこれ、初級編(第四回)

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今回からはRAIDの設定方法です。

弊社で販売している製品ではPRIMERGY TX100 S3やTX1310 M1などエントリークラスのサーバーに標準搭載されているEmbedded MegaRAID SATAの設定方法でご質問いただく事が多いです。

今回はこのRAIDの設定方法について解説いたします。

■Embedded MegaRAID SATAの仕様は?

性能としては最低限RAID 1(1+0)が組めればよいという程度ですが、エントリークラスのサーバーに標準的に搭載されているのでとにかくHDDを2台(4台)用意すれば最低限ミラーリングできることが魅力です。
(RAID 0もできます)

キャッシュメモリなし、バッテリーオプションもありません。
基本は組めるだけと考えてください。
注意点としてはVMware ESXiではRAIDコントローラーとして認識されないので、VMwareでRAIDを組む場合は別途RAIDコントローラーを増設する必要があることです。

またWindows Server 2012(R2)では別途デバイスドライバを適用しないと組んだRAIDが認識されず単体のHDDとして認識されてしまう問題があります。
このままインストールを進めると途中でインストールが頓挫してしまうので必ずドライバを適用してください。

その他詳しくは下記urlのマニュアルをご参照ください。
http://jp.fujitsu.com/platform/server/primergy/manual/peripdf/b7fy-2551-01.pdf
・2TBを越える領域からのbootについて
TX100 S3はUEFI bootでのGPTからの起動に対応していません。
LUNで起動ドライブをboot可能なサイズに分割してインストールしてください。
(RX1330M1、TX1320M1などは対応しているという資料があるので後日検証します)

■TX100 S3について

TX100S3外観今回はTX100 S3を例に進めます。

TX100S3内部1TX100S3内部2

今回はSATAの1TB HDDを2本搭載しています。
この形で設定します。

setup1setup2

SETUPにてSATA Configurationが「RAID Mode」に設定されていることを確認してください。
逆にVMware ESXiなどでRAIDが使えない場合は「AHCI Mode」に設定します。

post1
設定を確認したら設定を保存して再起動、POST中に規定の画面でCtr+MキーでRAIDの設定モードに入ってください。

■RAIDの設定

raidbuild1raidbuild2Configure」→「New Configuration」でRAID構築画面に入ってください。

raidbuild3raidbuild4

接続されている物理ドライブが表示されているのでArrayに参加させるドライブを選択してスペースバーで文字を反転してください。

raidbuild5

その後F10キーで確定画面に遷移し、決定します。

raidbuild6

各種設定を確認します。(今回はRAID 1に全容量)
間違いがなければ「Accept」でエンターキーを押して確定します。

*DWC(Disk Write Chace)をenableに設定するとArrayのアクセス速度が速くなります。
HDD上のキャッシュメモリを利用するので異常終了時のデータロスの可能性は高まりますが、効果は高いので割り切って有効にしてもよいと思います。

*仮想ドライブを複数に分ける場合は、ここの設定でArrayを組む容量を指定してから、一つ前の画面に戻り次の容量分もArrayを組みます。(LUNを分ける)

raidbuild7

設定情報が表示されるので確認してYesで確定

これでArrayが組まれました。

initial1initial2

Initializeを選択

仮想ドライブが表示されるのでスペースバーを押して選択してください。

initial3

確定してInitializeします。
Initializeとは仮想ドライブの領域に全て0データを入力して整合性を整える作業で、物理ドライブのフォーマットに近いです。

以上でRAID設定作業が完了です。
設定を終了して再起動してください。

post2

仮想ドライブが設定されていることを確認してください。
以上でTX100 S3のRAIDミラーリングが完了しました。

TX1310 M1やRX1330M1でもEmededde MegaRAID SATAが搭載されているサーバーでは同じ作業でRAIDを組むことができます。

■リビルド

ミラーされたArrayの片方のドライブ(RAID 10のどれかでも)が故障した時はクリティカル状態での動作となり、対になるドライブが故障すると復旧不可能になってしまいます。
故障したドライブを交換してリビルド作業をおこない、正常動作状態に戻す必要があります。

RX1330 M1などホットスワップ対応の機種であれば、作動している状態のままでHDDを交換するとオートリビルドが開始されます。
リビルド中はパフォーマンスが下がりますが、全てのリビルドが完了すると正常動作状態に戻ります。

TX100 S3の様にホットスワップできない機種であれば、一度サーバーをシャットダウンする必要があります。
HDD交換後に起動した場合はオートリビルドが開始されない場合がありますのでRAID設定画面で手動でリビルド開始してください。

リビルドが開始されたら設定画面を抜けて再起動して大丈夫です。

今回は出荷数も多くご質問いただくことも多いので、Embededd MegaRAID SATAの設定について手順を追って解説しました。

RAIDごとに手順は変わってきますので、今後も随時各種RAIDの設定方法を紹介していきたいと思います。


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